Pocket

すこし前ですが、調香師という仕事を知る機会があり、面白いなと思ったので、少し調べてみました。
あまり馴染みのない仕事かなと思いますが、実は日常生活では欠かせなく、海外市場への大きなチャンスもあります。

同じ「〇〇し」でも、ビジネス系資格の「士」と異なり「師」が使われている点に、匠の技のようなニュアンスを感じるでしょうか。

 

フレーバーとフレグランス(パフューマー)

調香師を大きく分けると、食品や飲料の香りと、その他生活全般の香りをつくる仕事に分けられます。
フレーバーリスト(食品香料開発技術者)
パフューマー(香水・化粧品香料開発技術者)

私はこの仕事を知った時にアメリカで生活していたので、改めて、国や地域による香りの違いを意識しました。

飲み物やおかし等の食べ物の香りが違うのは想像しやすいと思います。
あとは、量でもありますが、香水の使い方とか。
ただ改めて気を配ると、その他の身の回りの香りも結構違います。

その代表的なのが洗濯洗剤で、これによって、我が家を含む生活空間も変わってきます。
出張で日本とアメリカを行き来すると、「ああ、このにおいは」というのがありましたし、日本に帰ってきてからもしばらくはアメリカの洗濯物の匂いが懐かしかったりしました。

 

業界の動向

日本の大手香料会社と売上規模
高砂香料工業株式会社(1,368億円、平成29年3月)
長谷川香料工業(480億円、平成29年9月)
増田香料株式会社(153億円、平成29年3月)

高砂香料工業のIR情報を見ると、海外売上比率が5割前後になっており、日本№1から、今後はアジア№1とグローバルでトップクラスを見ざしているようです。

200社近い香料会社が国内にはあり、日本国内市場の成熟化と競争激化により、アジアを中心とした海外市場の成長を取り込もうとしているようです。

世界の有名どころは、下記の3社で、市場の半数近いシェアを占めています。
Givauden
Firemenich
IFF

 

調香師のなる方法と働き方

特に、国家資格があるわけではなく、理系で化学系を学び、化粧品、食品や香料会社に就職するのが、メジャーな流れのようです。
他には、専門学校で学ぶことも可能なようです。
パフューマーとして実力を磨くためには、フランスが本場で、留学という選択肢もあるようです。

実際に調香師として働かれている方と話したことがありますが、香りをつくるセンスも重要ですが、数多くの既存の香りに関する知識も重要になるようです。

日本では会社員としての働き方がメジャーな様ですが、有名になると独立される方もいるようです。
パフューマーになると、デザーナーに近いイメージで、より個人の能力が際立ちやすいのかもしれませんね。

「無人経済」時代の調香師

なぜ突然に調香師を思い出したかというと、今週の日経ビジネスの特集に「無人経済」で、巻頭の「編集者の視点」にもアルビン・トフラーの「第三の波」が書かれていたためです。
改めて、機械ではなく、人がやるべき仕事は何だろうと考えていました。

「好きな香り、落ち着く香り、元気になる香り」など、人々の嗜好に関わるところなので機械学習では置き換えられないような気もします。

ただ、アメリカの実験で、流行の音楽をひたすらAIに聞かせて、その後に作曲をさせたという実験があったと思います

でも、「便利さとか効率性を求める、あるいは繰り返しを求める領域」ではなく、調香師が「感情や感性に訴える、ユーザーが新しい香りを選ぶことを楽しむ領域」だと考えると、ユーザーが人間でいる限りは、全て機会に置き換えられない領域ではないかと思います。