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自社のブランドを築きましょう。
というのは、中小企業診断士としての私自身の課題です。
これは、自社が提供する商品・サービスそのものではなく、そこに付加される何かなんでしょうね。

自分の仕事をする時は、基本的には会社の名前は出さないようにしています。
私のバックグラウンドを想像してもらう上では役に立つかもしれませんが、その仕事をする上では直接関係がありませんし、自分自身の「個の力」を客観視したいからです。

ブランドと一言にいっても、育成から強化、Reブランドと様々なフェーズがあり、理論やノウハウも幅広くあります。

今回、自社ブランドの育成について考える仕事があり、上記自分自身のこともあり、私の中で今一番腑に落ちている考え方があるので、ここであらためて整理しようと思います。

ブランドとは顧客に提供する価値(便益)の合計

製造業を中心とした有形物を販売する業態ですと、販売する「ものの機能や便益」と「価格」のバランスが自社製品の競争優位性になります。

安くて良いものをたくさん売る。
新製品は、機能を大幅に向上させたが、価格は据え置き、等々が考えられる具体例です。

こうした時の「機能や便益」がわかりやすい考え方かなと思っています。
さらに、ブランドは、商品そのものよりは+アルファの部分なので、機能よりも便益を考えるほうがしっくりときます。

便益の中身を考える

ここからは、デービット・A・アーカー著、「ブランド優位の戦略」から得た考え方や切り口になります。

本の中では、便益を下記の3つの切り口でわけ、それらの合計がブランドの提供する価値としています。

機能的便益
情緒的便益
自己分析的便益

機能的便益

商品の機能面の効用。素材、色彩、形状、メンテナンス性。
言葉の通り、商品・サービスそのものです。

改善や改良による、スペック等の機能面の充実は日本企業の得意な分野と言えると思います。

情緒的便益

心理的な効用。 所有や使用という経験に対して、豊かさと深みを与える。

少し時代を感じてしまいますが、本に書かれている例は、「コークを飲むとエネルギッシュで活動的になる 」、「リーバイスを着ているときの強さや武骨さ」と、商品・サービスから感じられるプラスアルファの感情です。

自己表現的便益

ブランドが消費者の自己像を表現するシンボルとなる。
永遠性、将来性、自己の生き方、意思といった内部を表現。

こちらも少し古めの引用ですが、「リンカーンに乗っている人は成功者であり、権力を持っている 」、「ラルフ・ローレンの香水をつけると洗練された雰囲気がする 」となっています。

定義が難しいですね。
ましてやこれを会社のプロジェクトとして取り組むとして、メンバーの意識を統制するとなるとなおさらです。

実務で考える

中小企業で考えると、自社の商品やサービスに幅広いラインナップがあるというより、特定のニッチな領域で競合他社に対する優位性を築いているケースが多いと思います。

そうすると、上記の視点でブランドを築くことは、実は自社が目指す経営理念や、戦い方を示すビジネスモデルと直結してくるはずです。
具体的には、自社の強みや顧客・取引先との関係性等、内外の経営資源をうまく活用していかなければ、機能・情緒・自己分析面の便益を提供できないと考えられます。

ブランド戦略を考える=自社全体の戦い方(ビジネスモデル)を考える
となるのではないかと考えています。

自社で考える

最後に課題である自社(私)のブランディングを考えると、提携業務がない職業柄、すでに機能的便益から定義が難しい状況です。
例えば、「正確な現状分析」や「的確な施策提案」と言われても一体全体、、、と言うように。

一方で、情緒的便益については、機能面の定義が難しいからこそ重要になりそうです。
「人となり」や「相性」も、説得力や実効性のある提案に加えて、大切な要素になりそうです。
キーワードとしては、日々の仕事に「楽しんで」取り組めるような課題設定のお手伝いや、提案をしたいと考えています。

自己表現的便益と考えると、人生とか家族等のもう少し長い期間で考えられるでしょうか。
仕事も重要な人生の一部ですので、目標に向かって、やっぱり「楽しく」「高揚感を持ちながら」チャレンジしていく日々のサイクルを作っていきたい、自分自身もそうありたいと考えています。