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ゴールデン・ウィークに山梨に行き、偶然見つけた、古民家カフェに一泊してきました。

また、最近、創業関係の仕事をする機会がいくつかあり、ビジネスプランの建て方について学ぶ中で、中小企業庁のビジネスプランコンテストから、面白い事例を発見しました。

山梨の古民家カフェ「大黒屋・サンガム」

体操の大会の応援のため、甲府周辺で一泊する宿を探していました。
GWだったので、いわゆるホテルは埋まっていて結構高価で、子供が多いのでビジネスホテルにも止まれず、富士五湖までくるとゲストハウスも多いがさすがに遠くて、どこにすべきかと困っていました。

そして、私はいつも使うホテルドットコムで偶然見つけて、どうやら面白そうなのが、大黒屋 サンガムCaféでした。
何やら、300年以上前の古民家を使い、宿泊もできて、有機野菜にこだわり、インド料理を提供していると。
甲州市で、甲府市からは20キロ位離れていましたが、宿泊施設がおもしろそうで予約しました。

個性的な宿泊施設ながら、宿泊予約サイトに出ていたことも、出会いのきっかけでした。

「赤石商店」長野県・伊那谷にある山小屋のような宿

こちらは、宿泊したわけではありませんが、中小企業庁主催の第2回全国創業スクール選手権で、中小企業庁超鑑賞、地域ネットワーク創出特別賞を受賞されたプランが実現されたゲストハウスになります。

ホームページからも個性が伝わってきて、見るからに面白そうな施設です。

ここも空き家となっていた日本母屋を改修してゲストハウスにし、併設する倉を利用して音楽教室、アトリエ、キャンプ等のイベント会場として利用しています。
母屋が回収された木目を活かした清潔なゲストハウスになっているだけでなく、大自然の中でアウトドアや芸術や、地元や他の旅行者と接するといった、個性的で魅力的なサービスを提供しています。
宿のキッチンを地元の人に開放して食事を提供してもらうと言うのも面白い取り組みです。

得意分野でグレイクスルーする意味

さてここからは個人的、主観的な分析と意味付けです。

ビジネスでよくブレイクスルーという言葉を追加いますが、なかなか実現することは難しい中で、この方々は突き抜けている様に思います。

店主のペースに引き込まれる

サンガムは1泊2日でしたが、不思議な体験でした。
あくまで、子供の大会の応援が目的でしたので、朝早くに家を出て真剣に応援し、「疲れたな」って状況で宿につきました。
そのため、正直、すごく大きな期待を持っていたわけではありません。

古民家に泊まるのが初めてだったこともありますが、まずは母屋の外装に「おおっ」と来て、内装も個性的で何やら珍しいものが多くあり、その雑多感から、明らかにいつもと違う空間に来た感じがしました。

そして極めつけは、女将さん?店主?のおばちゃんの醸し出す空気感です。
ゴールデン・ウィークという時期がら忙しいようで、カフェや部屋の片付けが追いついていないようでしたが、マイペースに施設や周辺のことを説明してくれました。
あとは、ビジネスプランまでも。

宿の隣接の土地を借りることができて、これからはそこでキャンプファイヤーをできるようにしたいとのことです。
こちらも古い建物や建材が残っていましたが、これらを片付けるようです。

日々のオペレーションも忙しいだろうに、リノベーションという結構な大仕事を楽しそうにはなすおばちゃんに、また衝撃を受けました。

違うものの正体

ここまでくると何が違うのかが見えてきました。
自分が普段東京で仕事していると、同じ様な人が集まり同じ様に働き、サービスや商品のみならず働き方や暮らし方も、もしかしたら画一的になっているのではないかと思いました。

同じような商品・サービスを販売していて、プロモーションなどのマーケティング技法が確立されてきて、市場が成熟して大きな成長がなくなると提供者も大胆なチャレンジができなくなり、結果として、無難なあるいはどこか他社で見たことがあるようなモノが溢れてくるのではないかと仮定しました。

あまり安易に流行り言葉を使うのは好きではありませんが、「ガラパゴス」化もこんなところかと思います。

昨年まではアジアへの出張が多かったので、やっぱり「雑多だな~」と思うことがおおくありました。
商品・サービス、売り方や提供しようとする価値にバラツキ(多様性)があって、競争の仕方ももう少し大胆になれますよね。

これは好みの問題ですが、私は日本の「一般的な」事業戦略やマーケティング戦略から少しはみ出した、大黒屋サンガムが面白いと思いました。

お客さんも変わってる?

店主や商品・サービスに個性があると、そのファンも当然少し変わった人、あるいは日常とは違う時間を求めた人々が集まりますよね。
大黒屋サンガムでも、あえてテントに泊まっている家族がいました。
店主いわく、毎年テントというスペシャルサービスのリクエストがあり、3年連続で利用しているようです。

5月初旬の山梨で山間に位置するので、朝晩は結構冷え込みましたが、それでもお父さんお母さんと息子さんは、山間でテントの一晩を満喫されていたのでしょう。

 

際立つと欠点までも?

ただ、冷静にみると、そもそも古い建物ですし、限られた人数で運営しているので、完璧な施設とサービスを提供しているとは言い難いです。きれい好きな方にはきびいしいかもしれません。

ただ店主の目指すところが明確で、個性があり比較対象もないので、施設の煩雑さは「ごちゃっとしてかわいい」様にみえ、店主のマイペースさも「のんびりとした時間がながれている」と読み替えることができます。

提供する商品・サービスのコンセプトを、消費者が理解して同じ方向を目指していると、細かい欠点は目につきにくくなるのではないかと思います。

まとめ

調べてみると、サンガムはインドの地名の様でした。
どうやら築300年の山間の古民家で、有機食材に拘ってインド料理を提供するというのが、宿の名前「大黒屋・サンガム」と一致していて、店主のやりたい事とかなり高いレベルで一致しているのでしょう。

正直なところ、宿泊に関するオペレーションの仕方や、料理の作り方については特別際立っている状況ではなさそうですが、このコンセプトを体現する人生経験的なスキルがこの事業の大きな資産になっているのは間違いありません。

販売やマーケティングを語る時に「尖った」というフレーズを自分もよく使いますが、今回は、小手先ではない、「骨太な尖り」を勉強させていただきました。