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非営業系で、バックオフィスのスタッフに求められる役割が変わって来ていると思い、その点を本日は書きます。

 

これは、在庫・費用・現金・数値計画等を管理する役割で、シンプルに言うと「経理・企画の仕事」とまとめられるでしょうか。

 

ものを売る仕事と収益を管理する仕事

 

分業により会社には多くの部門がありますが、その規模に関わらず必ず存在するのが、「モノやサービスを売る営業系の仕事」と、「費用と収益を管理する経理系の仕事」です。

 

また、権限と責任の観点で見ても、「いかに売り上げを最大化させるか」と「資金管理を行い継続的な会社活動を可能にする」で大きく、二分されていると思います。

 

細かい点では「販売価格の決裁権が、営業にあるのか経理にあるのか」等の違いはあるでしょうが、売る役割と財布を管理する役割は必ず分かれているはずです。

 

経理・会計の業務では、会社の規模により財務会計と管理会計等に細分化されていると思います。

大規模なグローバル企業等では、国境を超える在庫と輸送コスト等の管理も、正しい収益を株主に報告するためには、重要な業務になってくると思います。

 

これまで、経理・財務・企画に求められてきた役割

 

まず最も重要なのは、現状を正しく数字に落とし込むことですね。

この作業ができていないと、現状の把握ができませんので、足元の事業の運営が困難になります。

そもそも事業として成り立たないかもしれません。

会社の規模が大きくなれば成る程に、係数を管理して、状況を「見える化」することが重要になります。

 

そして、その次が、企業の戦略を立て株主や金融機関に説明するため、将来の数字を計画としてまとめる業務でしょうか。

会社の経営理念と市場の変化をかけ合わせ、「中長期計画」を立て、そのための「投資・資金繰計画」、それらを可能にする「販売・収益計画」をまとめるのも重要な仕事です。

 

今起きている変化

 

世の中では様々な変化が起きていますが、今回注目したのは下記の三点です。

 

市場の変化がより早まっている

 

昨今の技術革新により、市場の変化はより早くなっています。

パッと上手い例が挙げられませんが、私が働き始めた15年~20年前からは、「流行り廃り」のサイクルが短くなっているのは間違いないと思います。

 

このような状況では、将来の計画策定に時間と手間をかけたものの、やっと計画が出来上がったら、世の中の流行りと自社の戦略が変わっていたということが起こりえます。

 

AIやIOTの活用により、人から機械へ自動化が進む

 

必要になる時間や実現する程度には振れ幅があるでしょうが、これまでITシステムと経験、時にExcelを駆使して作り上げていた「数字づくり」も、今後、少しずつ人の手を離れていくのは間違いないことだと思います。

業績の良し悪しよりも、時として不祥事が深刻な問題に

 

国内外で企業の不祥事はなくならず、そのことで業績が大きく傾き存亡の危機に直面している会社も多くあります。

情報伝達のスピードアップや同業他社との競争激化で、不祥事による小さなつまづきのはずが、取り返しの困難なダメージや機会損失につながりかねません。

 

経理、財務や企画に求められるこれからの役割

 

この様な変化の中で、これから経理を中心としたバックオフィスに求められる仕事は、数字を作る作業の負荷が減り、法令遵守の要素が増してくるのではないかと思っています。

 

もちろん、法令遵守や顧客や社会への貢献度が高いビジネスの遂行には、全社員の高い意識が必要になります。

 

しかしながら、分業制を振り返った時に、営業は売上を「最大化すること、顧客の要望に耳を傾けること」が責任であり、時に、これらが行き過ぎてしまった時に不祥事につながることもあると思います。

 

会社の役割を大きく2つに分けましたが、「前線で売上と利益の最大化に取り組む営業」と、「一歩引いて収益性、倫理性や法規制を遵守するバックオフィス」のお互いの牽制が重要です。

 

私の営業時代の経験ですが、商談が深くまで進んでくると自社は当然ですが顧客の状況もよくわかるようにり、商談の細部まで見えるようになります。

しかしながら一方で、俯瞰して、冷静な判断をすることが難しくなるとも感じていました。

 

この様な「難しい判断」をバックオフィスで引き受けてくれる、あるいはサポートしてくれると、前線としては戦いやすいと考えたのを覚えています。

 

当然、実務レベルで見ていくと、この「Goサインを出すか、出さないか、どう出すか」が非常に難しいところです。

杓子定規に Yes or No を出していると、ビジネスとして戦っていけません。

 

そのため、どこまでがOKで、あるいはこう進めればOKというのを、ビジネスの温度を探りながら冷静に、俯瞰して、「売る・儲ける」の意思決定をサポートしていくのが重要な仕事になってくると考えています。

 

もちろんこの意思決定には、収益等のビジネス性と法令遵守の、両面が重要になります。

 

まとめ

 

今後、企業の社会的責任が弱まることは考えられず、同業他社間の競争が激しくなる環境下では、不祥事が企業の成長の急ブレーキになりかねません。

 

会社の健康的な成長のためには、そこで働く人間には数値管理だけでなく、健全な事業を行うための意思決定サポートも重要になると考えられます。

 

具体的には、

「係数をまとめる定型的な業務は減り、係数も含む多面的な要素を加味した上で、ビジネスを進めるためのチェックや承認等の判断業務を行う」

「判断業務には、収益性や将来性だけでなく、そのビジネスへの社会的規範は企業倫理等の法令遵守も重要な要素になる」

のではないかと考えています。

 

追記:

診断士の座学で法務を学びましたが、実務における法令遵守や倫理観の確保にはいろいろな要素があり、実行し続けるのは簡単でないと実感しています。