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今回は、少し長くなりましたが、事業計画の具体的な記載内容について書きました。

技術的な先進性、社会性等の特徴

理想は、数ある申請の中から目にとまり、選ばれやすくなる特徴があることです。

基本的には日本政府、地方自治体等の公的機関が実施する融資や補助金ですから、世界的な「機会」を獲得するもの、あるいは主に日本国内の「課題」を解決するものが望ましいです。

例えば、日本で重要な製造業を考えると、新しい技術への対応を国が後押しするのは理にかなっているのではないかと思います。
個人的には、お隣の大国ほど特定の産業や企業に「国策」として支援する必要はないと思っていますが。(今週の日経ビジネスがこの辺りの話で、経済界の熾烈な戦いを垣間見ます。)

全産業に言えることですが、特にサービス業では労働生産性を如何に高めるかが重要になると思います。

他には、経済産業省が認定する「地域未来牽引企業」の様な、地域経済の底上げに貢献できる取り組みは非常に価値が高いと思います。

ポイント

「そうは言ってもその様な大義名分を設定するのは難しいよ」、というのが現実だと思います。
しかしながら、大企業とは異なり、中小規模あるいは創業期に取り組む事業ですから、分野や地域等でニッチなところに絞り込んでいくと、必ず機会や課題があると思います。
その上で、俯瞰的に視野を広げ、変化する社会の中での意味付けができると、自社の経営計画としても骨太になってくるのではないかと思います。

計画を実施するための経営資源や事業性の分析

実施に向け必要なこと考えると、自社の経営資源と新規事業の実施計画がどこまで検討されているかがポイントになります。
経営資源の要素は、よく言われる「ヒト、モノ、カネや、強み・ノウハウ」です。
実施計画では、「ターゲットとする市場や、顧客の声」と、「提供する製品・技術やサービスの開発状況」、「実施する体制」になります。

計画書の読み手の立場に立つと、「本当に実施できるの?」と疑問を持ちながら読んでいます。
もちろん未来のことなので、本当の実現性は測定できないものですが、「これだけ検討し計画が立てられていれば実現しそうだ」、「あとは行動するだけだ」、「必要となる資金を確保するだけだ」を思ってもらえることが重要です。

ポイント

私は、ポイントとなるのは、ヒトや実施体制のところかなと思っています。
少なくとも市場や商品の分析は出来ており、他の計画書ともあまり差がつかないことが前提です。
計画が「誰が、何を、どの様に、いつまでに」の施策レベルにまでに落とし込まれているのがポイントです。

優秀な人材の確保が難しくなっている時代背景もありますが、自社には必要な人材がいて、実施するヒトにはどのようなバックグラウンドがあるのかまでが書かれていると、説得力が増すと思われます。
読み手が、「これだけの経験と知識があれば、実行できそうだ」と思うのが目標です。

また、取引先や仕入先、技術面の連携先と言った外部機関まで含めた実施計画になっていると、「外部関係者とのコミュニケーションの面では、行動が起こされている、計画が実行されている。また外部の第三者からも賛同を得られている」という点で、計画の実現性が高まります。

数字面の根拠

最後にかつ最も重要なところは、やはりカネの管理です。
事業計画を提出する目的が融資や補助金であれば、「お金の管理ができない人、あまい人」と思われてしまうと致命的ですね。

前々回で書いた、会社の予算等ですと、「ともすると、数字遊びになってしまうのでは」と思うこともあります。
しなしながら、融資や補助金が目的に時は、数字をひとつひとつ積み上げて、なぜ売上と利益が伸びるのかが、説得力を持ち書かれていることが重要です。

顧客別品目別などの売上明細の作成

少なくとも、メインとなる顧客と主力となる商品・サービスの販売と利益の計画は必要です。
損益計算書の「売上高」、「売上総利益」や「営業利益」のまとめの数字がだけですと、「どうやって?」という疑問が必然的に生じます。

主要顧客とメイン商品の販売戦

顧客のニーズや自社商品・サービスの優位点を含めて、「誰に・何を・どのように」売っていくのが書かれていると、上記の顧客別商品別の売上・利益計画に説得力が出てきます。
また、販売計画の前提として、具体的な顧客の声やニーズが書かれていると、数字の説得力が増します。
販売先も一社より数社が目標に掲げられていると、計画のリスク軽減と実現性アップにつながります。

まとめ

今回は、主に、事業計画を作成・提出し、融資や補助金等を受けることを目的にポイントをまとめました。
第三者に提出し相手に納得してもらうことが目的ですから、いかに計画に「説得力」、「客観的な検証」、「実現可能性」や「相応の情熱」があることがポイントになります。
実はこれらを繰り返し検証し事業計画の精度が高まることは、自社の行動計画の精度も高まり、事業に与える影響も大きいと考えられます。
理想的には、事前のシミュレーションで失敗出来る位だと、実際の計画の成功確度も高まるように思えます。

よく聞くのは、「補助金申請の事業計画をがんばって作ったが、結果的に現状が計画以上のところに来ている」という話です。
もちろん、計画と結果の間に、「行動や検証」があるのは間違いありませんが。