日経ビジネスで知り前から気になっていた本ですが、内容も面白く、経営支援の現場で参考にできそうなトピックスを抽出しました。
イノベーションの重要性
中小企業はもちろん大企業においても、イノベーション(新奇性、革新性)は重要とされています。最近はその垣根が低くなっていますが、製造業であれば新たな機能を持った製品や、サービス業であれば新しい形態のサービスです。
大きな流れで見ると、今あるものはコモディティ化や陳腐化が進むものであり、企業と人の成長のためには、イノベーションを起こして、新しいモノやコトを提供することが不可欠です。
イノベーションの要素
本書では、「知の深化」と「知の探索」の必要性が書かれています。かつ、双方の高次元のバランスが重要です。
文字通りですが、「知の深化」は現在の知識、経験やノウハウを掘り下げることで、「知の探索」は新しいものを探すことです。
そして、「既存の知と、別の既存の知の、新しい組み合わせ」ることがイノベーションの源泉になるとされています。
イノベーションの重要性と難しさは座学で多く学んできましたが、本書では“必ずしもゼロから作るものではなく、新しい組み合わせを見つけることも重要である”と改めて気づかされました。
経営支援の現場で感じること
企業の経営支援の現場でも、売上や利益の増加のため、新しい事業の立ち上げに取り組むことがあります。
簡潔な言葉にすると、自社の強みを活かしながら(知の深化)、新しい作り方や売り方(知の探索)を試行錯誤していくことです。
特に中小企業では、経営資源が限られており、安易に新規事業を進め大きな失敗をしてしまうと、企業の存続が危ぶまれます。
そのため、成功率を高めるためには、これまで対応できなかった(あるいは顕在化していなかった)顧客のニーズに、これまでに築いた自社の強みを、どの様に提供するかの見極めを繰り返し行うことが必要です。
創業期を経て当社が成長してきた背景には、追い風だけではなく、必ず他社にない強みがあるはずです。
中小企業診断士ができること
知識の深化
蓄積や深化そのものは企業様が行うことであり、私達が提供はできません。
しかしながら、企業様と共に知識(強み)の再確認や再定義を行うことは比較的良くあると思います。
知識の探索
ここが外部の専門家として役に立てるところだと考えられます。
技術や品質のコアなところは難しいですが、顧客との接し方であるビジネスモデルや、ヒト・モノ・カネを最大限活用するためのプロセス面では貢献できます。
「他社や他の業界ではこの様にしていますよ」という点は、イノベーションと言う大きな変化や、日々の業務改善という小さな変化にも役立つと思います。
本書では、経営学は「答え」を提供するものではなく、「思考の軸」になるものと書かれています。
中小企業診断士も、社長が自社の将来を考える時の「思考の軸」として活用してもらえると考えています。
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