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日経ビジネスを定期購読で読んでいます。
しばらく前から新聞はwebニュースをランダムに読むようになりましたが、情報に一定の質が担保され、特集記事など幅広い情報を得られるのが魅力的です。
また、コメント欄がないことで、自分で情報を咀嚼することに集中できると言った点も、紙面の良いところです。

今回は、身に着けるメモで大ヒットした、コスモテック社のwemoの記事になるほどと思うところがありました。

ニーズを絞ることで、ビジネス化のチャンスが見えてくる

身に着けるメモと見た時に、メモ書き自体が紙面からスマホ(電子情報)に置き換えられているのではないかと真っ先に考えてしまいました。
しかしながら記事を読み進めると、手にメモを書くことが多い、医療現場や介護現場、建設現場で評判になり、10万本を売上げるヒットになったとのことです。

「なるほど!」ですよね。
市場をマーケット全体で俯瞰してしまうと、“スマホで駆逐“といった普通のありきたりな結論を導いてしまいます。
しかしながら、特定の分野に絞り込むことで、「都度スマホを見ていられない」、「業務用故に、質の良い道具(製品)が必要」と言ったニーズやビジネス化が見えてきます。

既に有名な商品と会社さんの様ですが、私には改めてニーズの絞り込みの重要性を考える面白い記事でした。

ビジネスモデルの変革と事業承継の関係

また、コスモテック社がwemoで成功した背景には、主力事業の苦戦と、2代目社長への事業承継がありました。ここも中小企業診断士としては、興味深い論点です。

2008年のリーマンショックの時に、同社の主力であるB to Bのフィルム事業が大きく減速し、B to C等で自社製品を立ち上げる必要性が出てきました。
この点は、多くの中小企業に共通であると考えられます。
また、リーマンショック程の危機でなくとも、人口減少等で既存ビジネスの大きな成長が見込めなくなり、多くの会社で中長期的には新しいことへの取り組みが必要になっています。

そして、この新規事業を立ち上げたのが2代目の社長である点も面白いですね。
教科書的には、新規事業にはこれまでの常識にとらわれない取組みが必要で、そのためには次世代の人材が好ましい、と言われています。確かに、その通りです。

一方で現実的には、新規事業には製品の開発から販売先の開拓と、相当なエネルギーが必要になってくるはずです。
既存ビジネスも当然厳しい競争環境に置かれていることを考えると、中小企業の社長が一人で新規と既存ビジネスを同時に推進するのは難しいことも多いでしょう。

そう考えると、新規ビジネスの種植えから収穫を通じて、次世代が経営者の経験を積んでいく、あるいはコスモテック社の様に新しい経営者が新規ビジネスを通じて会社の仕組みや文化を変えていくというのも、ビジネスモデルの変革と事業承継の面白い関係と考えられます。